私がかつて暮らしていた部屋は、まさにゴミ屋敷のランク二と呼ぶにふさわしい惨状でした。玄関のドアを開けると、そこには靴を脱ぐスペースすらなく、プラスチック容器や雑誌、空のペットボトルが膝の高さまで層を成していました。最初は「少し忙しいから後で片付けよう」という小さな先延ばしの積み重ねでしたが、気づけばその堆積物は私の意志の力を完全に上回るボリュームに成長していました。ゴミの上を歩くという異常な日常に慣れてしまったとき、私の心の中では何かが確実に麻痺していました。ランク二の状態では、まだ冷蔵庫や電子レンジは機能していましたが、そこへたどり着くまでの「獣道」を通るたびに、足元でカサカサと鳴るゴミの音が、自分の人生の失敗を突きつけてくるようで、強い自己嫌悪に苛まれる毎日でした。しかし、ある日、友人が突然訪ねてくることになったのをきっかけに、私のリセットへの挑戦が始まりました。まず私が着手したのは、玄関から居室へ続く通路の確保でした。ランク二のゴミ屋敷では、まず床を一点でも露出させることが、精神的な勝利を収めるために不可欠です。膝まであったゴミの山を少しずつ袋に詰め、一袋ごとに「自分の居場所」が広がっていく感覚は、暗いトンネルの中に光が差し込むような体験でした。作業の途中で、何年も前に失くしたと思っていた大切な写真や書類が出てきたとき、私は自分がどれほど多くの「過去の自分」をゴミの下に埋めてきたのかを痛感しました。丸二日間、睡眠時間を削ってゴミを出し続け、ようやく全ての床が見えたとき、私は床に這いつくばって泣きました。ランク二の壁を越えるのは、体力以上に、自分の惨めさと正面から向き合う勇気が必要でした。もし今、膝までゴミが溜まっている状況にある人がいるなら、伝えたいのは、そこからならまだ自力で戻ってこられるということです。一袋のゴミを出すことは、一歩未来へ進むことと同じです。私の部屋がランク三に進む前に踏みとどまれたのは、幸運だったとしか言いようがありません。清潔になった部屋で吸う空気は驚くほど軽く、それまでの自分の心がいかに不衛生な環境に押し潰されていたかを改めて実感しました。
膝までゴミが溜まったランク二の状態からの帰還