私たちはこれまで、数多くのゴミ屋敷の清掃に携わってきましたが、現場で目にする最大の奇跡は、部屋が綺麗になること以上に、住人の方々の「顔つき」と「健康状態」が劇的に変化することです。作業初日の住人の方々は、多くの場合、顔色が土色で、目がうつろ、そして常に何らかの体調不良(鼻炎、咳、肌荒れ、倦怠感)を訴えています。これは、汚れた環境が彼らの免疫力を根こそぎ奪っていることの目に見える証拠です。清掃作業が進み、何トンものゴミが運び出され、長年の汚れが落ち、部屋に十数年ぶりの日光と新鮮な空気が入り込むと、その変化は顕著になります。作業の数日後にお会いすると、まず肌のツヤが良くなり、目の輝きが戻っています。ある依頼者の方は、「清掃を終えてから、毎朝すっきりと目が覚めるようになり、あんなに頻繁に悩まされていた口内炎が全くできなくなった」と喜んでおられました。口内炎は、免疫力が低下しているときに出やすい代表的なサインの一つです。また、別の依頼者の方は、持病の喘息の発作が激減し、吸入器を手放せるようになったと言います。これらの現象は、掃除によって物理的なアレルゲンや細菌が排除されただけでなく、清潔な空間が精神的な安らぎをもたらし、自律神経が整ったことで、免疫細胞が本来のパフォーマンスを発揮し始めた結果だと推測されます。私たちは、単にゴミを捨てているのではありません。住人の方々の免疫力を、そして生きる気力を奪っていた「負の重力」を取り除いているのです。ゴミに囲まれて暮らすことは、目に見えないトゲを全身に刺し続けているようなものです。清掃によってそのトゲを一本ずつ抜いていくことで、人間の体は驚くべき早さで自己修復を開始します。清掃のプロとして確信しているのは、住居環境は私たちの「外部免疫」であるということです。家が守ってくれるのは、風雨だけではありません。不潔な環境から身を守り、内部の免疫力を健やかに保つための繭(まゆ)としての役割が、家にはあるのです。汚部屋から抜け出すことは、あなたの体が持つ「生きるためのプログラム」を再起動させることと同義なのです。