自分の親や兄弟が住む実家が、いつの間にかゴミ屋敷になっていた。その事実を知った時、家族はショックと同時に、「何とかしなければ」という強い責任感に駆られます。しかし、愛情や善意から始まったはずの家族による片付けは、残念ながら多くの場合、深刻な対立や関係の断絶という、悲しい結末を迎えてしまうのです。ゴミ屋敷の問題は、血の繋がった家族だからこそ、解決がより一層難しくなるという、根深いパラドックスを抱えています。 その最大の理由は、家族という近しい関係性が、お互いの感情を剥き出しにしてしまうからです。片付けようとする側は、「なぜこんなことになるまで放っておいたんだ」「みっともない」といった正論や非難の言葉をぶつけてしまいがちです。しかし、住んでいる本人にとって、その一つ一つの物は、たとえ他人から見ればゴミ同然であっても、かけがえのない思い出の品であったり、自分の存在価値を証明してくれる唯一の所有物であったりします。それを無理やり捨てようとする行為は、本人の人格や人生そのものを否定されていると感じさせ、心を固く閉ざさせてしまうのです。 また、「いつか使うかもしれない」「まだ使える」といった言葉を繰り返す本人に対し、家族は「そんなものは一生使わない」と事実を突きつけます。この価値観の根本的な対立は、話し合いを平行線に終わらせ、お互いの間に深い溝を作ります。片付けが進まない焦りから、ついには本人の留守中に勝手に物を捨ててしまうという強硬手段に出てしまうケースもありますが、これは信頼関係を完全に破壊し、問題をさらにこじらせる最悪の選択と言えるでしょう。 このような袋小路に陥らないために、家族がまず持つべきなのは、「片付けさせよう」とする姿勢ではなく、「なぜ物が溜まってしまうのか」という本人の心の内を理解しようとする姿勢です。そして、家族だけで解決しようと抱え込まず、第三者である専門家の介入を検討することが非常に重要になります。ゴミ屋-屋敷の片付け業者や、地域の包括支援センターといった専門機関は、本人と家族との間の緩衝材となり、客観的な立場で対話の糸口を見つけ出してくれます。家族の愛情が、本人を追い詰める凶器にならないために。一歩引いて専門家に頼る勇気が、結果的に家族関係を守り、問題解決への最も近道となるのです。
家族だからこそ難しいゴミ屋敷問題