私は初めての出産後、喜びと同時に、子育てへの不安と産後の体調不良で心身ともにボロボロでした。そんな中で「新生児訪問」が近づいてくるにつれて、私は強烈なプレッシャーに苛まれました。私の部屋は、出産前から片付けが苦手だったことに加え、産後は全く手がつけられず、まさに「汚部屋」と呼ぶにふさわしい状態だったのです。散らかった洗濯物、段ボールの山、埃をかぶった床。この惨状を保健師さんに見られたら、なんて思われるだろう。「こんな部屋で赤ちゃんを育てているなんて」と非難されるのではないか。そんな不安で夜も眠れず、訪問日当日も、どうにか見える範囲だけを隠そうと必死でした。しかし、インターホンが鳴り、笑顔の保健師さんが部屋に入ってきた時、私の緊張は最高潮に達しました。恐る恐る部屋の奥へ案内すると、保健師さんは一瞥しただけで、特にコメントすることなく、すぐに赤ちゃんに目を向けました。体重を測り、体の状態を確認し、授乳の様子を優しく見守ってくれました。そして、私の顔をじっと見て、「お母さんの体調はどうですか?眠れていますか?何か困っていることはありませんか?」と、私自身のことを気遣ってくれたのです。私は、その優しさに涙が溢れそうになりました。思い切って、「実は、部屋が散らかっていて、なかなか片付けられなくて…」と打ち明けると、保健師さんはにこやかに、「あら、そうなのですね。お母さんもまだ大変な時期だから、無理はしないでくださいね。赤ちゃんが安全に過ごせる場所があれば、まずはそれで大丈夫ですよ。もし片付けに困ったら、地域の支援サービスもありますから、いつでも相談してくださいね」と言ってくれました。その言葉に、私は肩の力が抜け、心底安心しました。保健師さんが本当に見たかったのは、ゴミ屋敷と化した北本市のアパートの清掃は部屋のきれいさではなく、私の心と赤ちゃんの健康だったのだと、その時初めて理解できました。この経験を通じて、私は、完璧でなくても良いこと、そして困った時には助けを求めることの大切さを学びました。今でも部屋が完璧にきれいなわけではありませんが、あの日の保健師さんの言葉が、私の育児を大きく支えてくれています。
散らかった部屋の新生児訪問記